マダムたちのこと。
これから晩ごはんを急いで作って、子どもをお風呂に入れて、バタバタと寝る準備をして、寝かしつけ、早く寝てくれるといいけど、と考えている帰り道の途中、
ふと村上春樹の小説に出てきた「仮縫い」のマダムたちを思い出した。
その小説を読んだのはずいぶん昔で、村上春樹のどの本に書いてあったのかも
思い出せないんだけど。今からする話は全部うろ覚えの上の話。
「仮縫い」は比喩らしくて実際は仮縫いをしているわけではないらしいけれど、
ぼくが口コミで続々と集まってくるマダムたちを「仮縫い」することで
何だか良くなるらしい。
一度踏み込んだら戻れないような妖しさがあって
印象的だったけれど、読んだときには他人事だったようなマダムたち。
何だか急に、一人ひとり通っているマダムたちの姿形を思い浮かべたりした。
たぶん、すごく普通の女の人。別に何か特別な特徴があるわけではない。
たぶん、お化粧はしっかりしている。
通ってくる人たちは趣味趣向が似通っているわけではない。
年取ったつもりはなくて、でも若者でもなくなってきたこの頃。
マダムたちに足を踏み込んだような、繰り返しの毎日に仮縫い室を
見た気がした。