ヒマワリのスカート

好きなことのスケッチブックです。気の向くままに書いています。よかったら覗いていってね♡

あやこ先生の赤いネイル

 

高校二年生になった時、あやこ先生が赴任してきた。

当時全盛期だった、えびちゃんを彷彿とさせる美しく可愛い人だった。

他にも女性の先生はいたけれど、あやこ先生だけ下の名前で呼ばれていた。
男子生徒も女子生徒も、他の先生も、あやこ先生と呼ぶときはちょっとウットリしていたように思う。

先生は、ふふふと笑う笑顔が可愛らしかった。

あまり自分から話すタイプではなく、人の話を笑顔で聞いているだけで、
みんなが嬉しくなっちゃうような人。

ウブな私は先生へ話しかける言葉も思いつかず、
遠くから綺麗な人だなあと見つめているだけだった。

ソツがなさすぎて近寄りがたいと思っていた。

 


文化祭の準備をしている時に、普段見えないあやこ先生のつま先がたまたま見えた。
とても綺麗な真っ赤色の爪だった。

私は目を奪われた。
余りにもソツがないあやこ先生の
生々しい部分に触れた気がした。

大人の女だと思った。


私は先生に「綺麗なネイル!」なんて声をかけられる性格じゃなくて、
1人でドキドキしていた。


社会人になって、CHANELの赤いネイルを買った。
これを塗れば大人の女になれると思った。

でも、私が塗る赤いネイルは子どものイタズラのよう。
はみ出してしまう。

今度、ネイルサロンで真っ赤に塗ってもらおうかしら。

そんなことを考えながら、爪を赤く塗りつぶす夏の終わりの夜。