ヒマワリのスカート

好きなことのスケッチブックです。気の向くままに書いています。よかったら覗いていってね♡

平成から令和になった年

平成から令和になった年。

 

お正月に、夫と一緒に大阪の老人ホームにいる祖母に会いに行った。

夫の顔を大真面目な顔で見てから、私の方へ振り向いて、

「いい人そうだね」と言った。

それを繰り返し繰り返し何回も。

夫の方をじっと見てから、私にしゃべりかけるおばあちゃん。

「お祝いを直接渡したかった」と繰り返すおばぁちゃん。

お金を持っていないことがとても悔しそうだった。

買ってきた、とらやのようかん(誰でも食べられるタイプ)を介助であげる。

ペロリと食べる。

 

「いい人そうだね」と繰り返し、最後に「優しくて良かったね」と

夫の手をしっかりと握りながら話していた。

 

 

わたしと夫は、前の年に籍は入れていたけれど、結婚式をするのは

後回しにしていて、そのまま流れそうだった。

けれど、そのお正月に親戚からせっつかれ、重い腰をあげてゼクシィの

結婚式相談カウンターに出かけた。

 

結婚式は7月の大安の日になった。

 

ゴールデンウィーク、令和になるぞと世の中が騒いでいる中、

結婚式の準備をした。

 

そんな中、父から電話。

おばぁちゃんの体調が思わしくない。

何があっても結婚式はしても良いと伯父伯母から許可を取ったと伝えられる。

 

結婚式の1週間前に飛行機で一人大阪に戻っておばあちゃんに会う。

お正月に比べて非常に小さくなっていて、呼吸も苦しそうな様子に

戸惑う。

わたしの顔を見ると、わたしだと分かって微笑む。

 

7月の結婚式はつつがなく終える。

おばぁちゃんに花嫁姿を見せられなくて残念だったけれど、

良い結婚式だった。

 

8月のお盆に帰るはずが、台風で中止にする。

 

9月7日、おばぁちゃんに夫と二人で会いに行く。

おばぁちゃんはもうずっと反応もないような状態だったけれど、

わたしの顔を見て、ふっと微笑む。

 

9月20日、祖母亡くなる。

 

大正の最後の年生まれのおばぁちゃん。

 

10月からの増税前に駆け込みお葬式だったね、

なんてブラックな冗談が出るくらい、のどかなお葬式だった。

 

今日は11月の8日。

 

私はおばあちゃんに、よく手紙を出していた。

たくさんの私の手紙は、お棺の中に入れてもらった。

久しぶりに自分の手紙を読んでこっぱずかしく、懐かしく思ったりした。


手紙を出すだけで、とてもとてもとても喜んでくれる人には

手紙をもう投函することが出来ないや。

 

それがとても寂しい。