中秋の名月とおばあちゃん
今日は中秋の名月。
1年前の今頃、夢をみた。
逆瀬川駅から歩いて15分ほどのマンションの2階、ピンポンとチャイムを鳴らす。
いつの間にか私よりも随分と小さくなったおばあちゃんがドアを開けてくれる。
「あら、〇〇ちゃん、来たの」
と笑って迎えてくれる。
おばあちゃん家のカーペットは毛足が長くて底づきしなくてふわふわしている。
おばあちゃん家のにおい。
清潔に整えられた安心感。
私専用のカップ、ピンク色で中は白い、愛おしくらい薄い特別なカップにお茶を入れてくれる。
「遠くから来て疲れたでしょう」といつもの調子でおばあちゃん。
ひとまず、仏壇のおじいちゃんに挨拶する。
そんな夢で、
いつものように大切にされている感じがあって、
本当におばあちゃん家にいったような感覚があった。
そんな夢をみた朝は早起きだった。
その日は出張で泊りがけでビックサイトに行く予定にしていて、5時半くらいから準備をしていた。
電話がかかってきた。
朝早くに誰だろう、車で迎えに行く予定にしている上司からかな?と思ったら、お母さん。
お母さんは泣いてた。
入院していたおばあちゃんが突然病状が悪化して明け方に息をひきとったと連絡。
出張の予定が急に帰省に。
今日は一周忌だった。
おばあちゃんに花嫁姿を見せてあげられなかった。
いつものおばあちゃんの家はもうなくて、
おばあちゃんは写真の中にいた。
わたしが1番似合うと選んだ遺影の背景の中。
帰りの新幹線を降りたとき、中秋の名月が見えた。