ヒマワリのスカート

好きなことのスケッチブックです。気の向くままに書いています。よかったら覗いていってね♡

夏の日の記憶

帰省中の新幹線で窓側に座って、田んぼを眺めながらぼんやりしているとき、
もう何年も前の大学生の頃の夏の記憶が蘇った。

当時はバイトもあまりせず、大学の研究室棟にいることが多かった。
いつも誰かがいる環境で喋りたくなったら、人を探しに行けた。私がパソコンに向かってる後ろで最近の(ロクデナシの)恋愛事情を自慢そうに話す男の子に気のない相槌を打ったりもした。


その日は花火大会があって。
でも、見に行く予定も立てずにいつものように研究室にいた。


ここからでも見えるかも!と誰かが言い出し、10人くらいでガヤガヤと大学の最上階に登った。窓を跨ぎ出て、軒先に座り、足を宙に浮かせた。

もうとっくに始まっていた花火は、自分の手のひらよりも小さく遠くに見えた。

真剣に見るでもなく、どうでもいい話をしていた気がする。

小さな花火を並んでみたことを、大学を卒業してからずっと、思い出しもしなかった。
一緒に花火を見た人の中でも、今でも会うのは数える程度しかいない。
もうきっと会わないだろう学生時代の人たちの顔ぶれを思い返してみる。

どんどん忘れていく中にも、暖かな記憶がどこかに隠れていくのかもしれない。

今フッと思い出したことも、きっとすぐに忘れてしまう。

何だか残しておきたくなって書きました。